嘘つきヴァンパイア様



ブラウンの瞳を真っ直ぐに見つめながら、涼子が言う。すると呉羽は立ち上がり、涼子の身体を持ち上げテーブルに押し倒した。


「え…ちょっ、呉羽!?」


背中に固い感触がすると、バサバサと沢山の紙がテーブルから落ちていく。


その音に耳を澄ませば、涼子の片足を持ち上げ足首から膝まで唇をなぞらせた。



「ちょっ、呉羽!なにして……話の途中でしょ!?それに、テーブルの上なんて、はしたない、からっ……だめ、だよっ」


身体に電流が流れるような感覚。

何度もだかれたが、やはり呉羽に触られると胸の鼓動は鳴り止まない。

「呉羽……はな、して……」


「離さない、絶対に」

「だめ……はなし、終わってないっ」


「終わってない?なにを話すことがあるんだよ。涼子が見た記憶は、俺と涼子の記憶に決まってる。カトレアなんか関係ない。でなきゃ、俺が分かるわけがないだろ」


それは、そうだ。わかるはずがない。


だけど、涼子は不安だった。不安で仕方がなく口にした言葉だった。



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