嘘つきヴァンパイア様


そう思うのも、無理はない。


記憶喪失に加え、知らない異世界での生活、カトレアのことや、夢のこと。

次から次と知らされる事実に、不安におもわないわけがない。


「大丈夫だ。涼子」


返す言葉を失う涼子に、呉羽は顔の横に手をおき、触れるだけのキスを落とした。



「あれは、俺たちのだ。俺が断言する。だから、信じろ。お前は、この先、なにがあっても俺だけを信じればいい」


「……呉羽」

「お前の不安は、俺が取り除いてやるから」



甘い言葉のあとには、熱いキスが涼子を襲った。


衣擦れの音がし、シュルと腰のリボンがほどかれる音がする。


もう、はしたないなど、考える余裕は彼女にはない。キス、それ以上に熱い熱に涼子は酔わされた。



不安なんか、思わなくて良かった。呉羽は涼子の欲しかった言葉をくれたのだから。


「俺を信じろ」その言葉が涼子を支配するように浸透していった。





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