嘘つきヴァンパイア様
『偽りの愛で包まれた無垢な女』随分と洒落たことをしれくれると呉羽は思った。
だが、肝心の涼子はその意味を理解していない。
それは幸運なことだった。呉羽が涼子にその意味を問うた時、『よかった』と言ったのは本心。
ばれなくて良かったと思ったのだ。
正直、最近の呉羽は迷っていた。このまま涼子に嘘をつき続けることを。
最初は罪悪感など微塵も感じてはいなかった。
だが、涼子が真っ直ぐに呉羽を向き合おうとする所、呉羽を信じる所、涼子から伝わる思いに呉羽は最近迷いはじめていた。
あとには戻れない。わかってはいるが、呉羽の心は激しく揺れていたのだ。
花束の意味も、教えるとは言ったが、呉羽は言うつもりなどなかった。言えは全てが崩れるからだ。
部屋に連れ込んで適当に甘い言葉を囁いてごまかすつもりが、部屋に着く前にギルドに誘拐されるなど予想外。
こうなった原因は夜中にギルドを屋敷内にいれた3兄弟に罪がある。
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