嘘つきヴァンパイア様
そのため、呉羽は彼らに無言で激怒していたのだった。
「く、呉羽様、どうかお許しを。正門を通ってこられたのです。私どもはてっきりルカの許可を得ているものだと。まさか、ルカが正門を通していないなど、思ってもいなく」
激怒する呉羽に弁解の言葉を述べたのはドナ。
ドナいわく、いつものようにギルドが正門から訪れたから正門の門番であるルカの許可があったと思ったらしい。
だが、とうのルカは許可など出していないし、ギルドの姿さえも見ていないと言うのだ。
夜中ということもあり、呉羽が思うに姑息なことをしたのだろう。
だが、門番でありながら通したこと、涼子の気配がなくなったことに気づかなかったことは許されることではない。
本来なら、処罰があってもいいところだが、呉羽にはそれが出来ない。だから、威厳で怒るしかない。
ドナの弁解のあと、数分黙り通した呉羽は深い深いため息をはき腕を組んだ。
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