嘘つきヴァンパイア様
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そこは、とても暗かった。そして、とても寒く、誰の声も音もしない。右も左も上も下も分からない闇の中、涼子は小さく身体を抱え込んでいる。
(熱い…とても、身体が熱い。ここは…どこなんだろう)
身動き一つ取ることも出来なく、身体は灼熱の大地のように熱い。このままとろけて消えてしまいそう感覚だった。
(私は…どうして…ここにいるんだろう…)
まどろむ意識の中、うとうとと目を開ける。だが、やはりそこは真っ暗闇。誰もいない。
(わたしは…一人ぼっち…だ)
また、目を閉じた。重い腕を動かし、抱え込んだ身体を更にきつく抱きしめると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた。
『お願い…彼を止めて』
『…え…?』
(この声は…だれ?どこかで…聞いたことのある声だ…)
『お願い…彼をとめて。私にはできなかった…だから、今度こそは…幸せになって欲しいの…』