嘘つきヴァンパイア様

***


そこは、とても暗かった。そして、とても寒く、誰の声も音もしない。右も左も上も下も分からない闇の中、涼子は小さく身体を抱え込んでいる。


(熱い…とても、身体が熱い。ここは…どこなんだろう)


身動き一つ取ることも出来なく、身体は灼熱の大地のように熱い。このままとろけて消えてしまいそう感覚だった。

(私は…どうして…ここにいるんだろう…)


まどろむ意識の中、うとうとと目を開ける。だが、やはりそこは真っ暗闇。誰もいない。


(わたしは…一人ぼっち…だ)

また、目を閉じた。重い腕を動かし、抱え込んだ身体を更にきつく抱きしめると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた。


『お願い…彼を止めて』


『…え…?』

(この声は…だれ?どこかで…聞いたことのある声だ…)

『お願い…彼をとめて。私にはできなかった…だから、今度こそは…幸せになって欲しいの…』
< 439 / 475 >

この作品をシェア

pagetop