嘘つきヴァンパイア様


言葉の内容とは違って、とても小さく落ち着いた声で呉羽は言った。

忘れたわけではない。忘れるわけがない。

首を小さくふれば、「なんでだよ」と疑問が投げかけられた。


けれども、涼子がそんな顔をする理由なんてたった、一つしかない。

「呉羽の事が、好き….だから。だから…嬉しくて….とても、落ち着くの…」


「はは…よく、そんな事が言えるな。信じられねぇ…」

「…うん……わたし、も」

「……」

「とても、不思議だけど…落ち着く。あんなことをされても、私は呉羽を恨めない……嫌われても、嘘をつかれていたと…しても……それでも、わたしは…貴方が…だい、すき」

(呉羽…)


抱かれている胸板に顔をうずめ、涼子は目を閉じる。

聞こえるのは、呉羽の心音と息をはいて、吸う音。

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