嘘つきヴァンパイア様


ハンサムな彼。その言葉に涼子は僅かに眉を潜めた。


実は、あのキスのあと呉羽はすぐに帰った。それでさすがにもう来ないしと思いきや翌朝また来たのだ。

そこに、タイミングの良いことに涼子の母親とバッティングしてしまい呉羽は涼子の母に礼儀正しく恋人宣言。


母親はすっかり気に入ってしまいこんなにも笑顔なのだ。


「だから…違うんだってば」

「隠さなくてもいいじゃないの。お父さんには内緒にしてあげるから!ふふ!」


「…」


なにも言えない涼子。このハンサムすきが!そう、思った言葉を飲み込みため息をはきながらドアを少し閉める。


「もう、いい。それより、新幹線の時間だよ?早く行ったら?間に合わなくなるよ。予約席なんでしょ?」

「え!?あ、そうだった!じゃあ、行くから、安静にね!」

そのまま母親は帰り、その姿が見えなくなる前にドアをしめた。

< 51 / 475 >

この作品をシェア

pagetop