嘘つきヴァンパイア様


「まったく…」

ドアをしめ、涼子はそのまま真っ直ぐベッドに向かい倒れこむ。

(なんか、疲れたな)


ゴロンと寝返りをうち、抱き枕を脚に挟み涼子はため息をはいた。


そして、考えてしまうのはやはり呉羽のこと彼は本当に恋人だったのかな、と。


夜に引き続き、朝も触れるだけのキスをされてしまった。そして、夜と同じく嫌か?と、囁いた彼に涼子は何も言えなかったのだ。


恋人の記憶はないけれど、キスをされていやではないのは、恋人って、身体が覚えているからかもしれない。


そっと、唇にふれればあの感覚を思い出す。柔らかくて、とてもいい香りがした。


「呉羽…さん」


思い出したい。彼が、本当に恋人なのかを。そう思いにふけていると、不意に涼子の携帯が鳴り響き、ディスプレイに指示された"楓"の文字に涼子は慌てて起き上がり通話ボタンをおす。


「も、もしもし!楓!」

『あ、涼子?』


楓の声。時間的には長い時間話してないわけではないのに何故だか懐かしい声に涼子はホッとする。


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