嘘つきヴァンパイア様
「あ、そうだ。楓」
「ん?なに?」
「あのさ、実は聞きたいことがあるの」
ゴクリを息を飲む。携帯を持つ手が僅かに震え、脈拍か高くなっていく。
「ん?なぁに?」
「あ、うん。たいしたこたじゃないんだけどさ…私って、恋人とかいたのかな?」
楓の返事がイエスなら、本当に記憶喪失。ノーなら呉羽の勘違い。一か八かのかけに涼子は息を飲み込み彼女の返事をまつ。
「え、ははっ!なにそれ!涼子、本当に大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ」
「そう?てか、そんな大切なこと、聞くよなことじゃないじゃない」
「う、うん」
心臓がはち切れそうな勢いで鼓動を繰り返し返事を待った。
「もう、いるでしょう!呉羽さんって言う、恋人が。婚約もしてるじゃない。この前、卒業したら、結婚するって私に話したわよ」
「…」
楓の言葉に涼子は何も返せなかった。本当にあの彼は、私の恋人だったんだと。
楓が嘘をつくはずがない。それに、そんな嘘をつく、メリットもないから。
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