嘘つきヴァンパイア様



「楓、大丈夫だった?身体とか」


気になっていた。楓のこと。あの日、すぐ退院したらしいが、涼子自身の目でみたわけではないから。

『うん。大丈夫だよ。私より涼子でしょ?退院出来て良かった』

「そうなの。さっき、帰ってきてさ」

『そうなんだ。良かった。でも、事故にあって、無事とは運が良かったね』

「そうだね」


『全くだよ。あ、そうだ。あの事故、見えてた?ほら、いつもなら、危ないから渡らないようにしようとか…言わなかったからさ』


「え?あ、うん…」


思わず言葉を濁した。何故なら、涼子はあの時、事故に合うことは予想出来てなかったから。


「実は、全然見なかったの」


「そう、なんだ。珍しいね」

「うん、まぁ…」


曖昧な返事を返すと、涼子は不意に楓に聞こうと思った事を思いだす。
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