政略結婚 ~全ては彼の策略~

安易に近寄るのも躊躇われる程だったが、何とかこっそり近づいていく。

「…悟さん、お待たせしました。」

「ん、早かったな。ゆっくり出来たか?」

「はい。凄く気持ち良かったです。」

「そうか。」

悟は雑誌を閉じると近くの本棚ラックに戻しに行った。

その間も少人数の静かな空間の中、優香は視線を感じてしまい落ち着かない。

——あぁ、不釣り合いだと思われていそう…

散策中は大勢の人で賑わっていたため気にならなかったが、やはり少人数ではどうしても視線が刺さる。

悟1人の時もいつもこんなに注目されているのだと思うと大変そうだなと心配になるくらいだ。

悟は戻ってくると、当たり前のようにスっと優香の背中に手を当てて誘導される。

優香はどきりとしながらもどうにか平静を装いながら2人の部屋へ戻った。

夕食は部屋で食べるようになっており、2人でお酒を飲みながら食事をした後、露天風呂へ向かう。

優香は緊張しながらも、露天風呂の喜びの方が上回っており悟に抱きしめられながらキスを受け入れていた。

夜の星空を一緒に見上げながら、温かいお湯に浸かり優香は幸せな気持ちでいっぱいだ。

「…ここは本当に景色も綺麗で(おもむき)がある、温泉の質も良くて気に入ってるんだ。優香も気に入ってくれたら嬉しい。」

「…はい。また一緒に来たいです。」

「勿論。これから何度でも一緒に来よう。」


悟の過去をどうこう言うつもりはない。
これから先の未来に優香がいることを受け入れて貰えていることが嬉しい。


優香はその日、初めて悟へ自分から唇を寄せてキスをした。
悟は一瞬驚いた様子だったが、そのままキスは深くなっていった。




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