黒水晶
テグレンは、心底不安だった。
マイ一人を、そんな旅に向かわせるのは……。
このように不安定な世界では、いくらマイが優秀な魔法使いとはいえ、危険性が高い。
ただでさえマイは、魔法使いの血筋ゆえ、多くの人間から狙われている。
“私は完全に、親バカだね。
私が止めても、マイは神達の元に行くだろうって、分かってるのにさ……”
「わかったよ。
アンタの好きにしな。
私も一緒に、ヴォルグレイト様に掛け合ってやるよ」
「ありがとう、テグレン!」
話がまとまったのはいいが、すぐ行動するわけにはいかなかった。
忙しいヴォルグレイトと謁見(えっけん)できる時間は、一日の中でも限られている。
二人はその機会を待つことにしたのだ。
テグレンと共に、マイが自分の客室に戻ると、何者かが、そこにいた。