黒水晶
じょじょに消えていく父の体温を両腕に感じつつ、イサはエーテルに感謝を述べた。
「ありがとう、エーテル。
この人は、許せないやり方でルーンティアを裏切ったのに……」
「イサ……」
マイは、イサとエーテルの顔を交互に見て言った。
「私も、テグレンと同じ気持ちだよ!
イサを一人にはしない!
ずっとそばにいるから!!」
それを聞いて、エーテルは目を伏せる。
マイがイサの味方をするということは、同時にマイはエーテルの……ルーンティア共和国の敵になってしまうということ。
けれどマイは、そんな風に思っていない。
「私にとって、エーテルも大切な友達…!
誰かを処刑するなんて、何の解決にもならない!
こうして、悲しみしか残らないもん!」
エーテルは戸惑う気持ちを抑えながら、意識して冷静に告げた。
「マイ。私は、ルーンティアのために、ヴォルグレイト様を倒したの……。
マイがガーデット側の味方をすると決めたのなら、私に情けをかける必要はないわ。
あなたと対立する覚悟はできてるし、これはけじめだから。
仕方ないことなのよ」