毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「儂の子をお前に産んでもらいたい」

「私、30歳前ですけど」

 それがどうした? と言わんばかりに、信長が鼻で笑った。

「お前の国では30歳でも子は産めるのだろ?」

「ええ…まあ」

「なら、平気だ。なんの問題もない」

「どうしてそう思えるんです?」

「お前はここに来てからのほうが日が浅い。元の世界で過ごしている時間がほとんどだ。だから身体だって、まだ元の世界に順応しているはず。だから、30歳になってもまだ子を産めるはずだ」

 信長が「違うか?」と聞いてきた。

 私は首を横に倒しながら、「わかりません」と答えた。
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