毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
 濃姫は私が居なくなることを望んでいるって思ったから。

 私が居なくなるのを拒むはずないって、自信を持っていたのに。

 私が間違っていた。軽く考えすぎていたのかもしれない。

「自分を責めるな。お前がどうしても帰りたいと言うのなら、儂も諦めん」

「え?」と私は声をあげた。

「どうだ? 帰りたいと強く望むか? それともここで生きていくか?」

 信長が私の頬に手を置いて、力強い眼差しで見つめてきた。

「帰れるの?」

「今回は『絶対に』という保証はできん。だが、お前が諦めないのなら、儂も諦めん。元の世界に戻れるよう儂も努力する」

「諦めたら……」

「ここで生きて行くと決めたのなら、儂はお前を側室にする」

「え?」
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