毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
 そうかもしれない。

 食べてきたものが違うし、環境も違ったから。

 産めるかもしれないし……そうじゃないかもしれない。

「今すぐに答えを出せとは言わん。ゆっくり考えれば良い。帰りたいと思うのなら、儂は協力する。ここに残るというのなら、儂はお前を抱きたい」

 信長が、私の頭を撫でてから、ぐっと肩を抱き寄せてきた。

「儂としては、お前とここで暮らしたいのだがな」と耳元で囁くと、信長が私から離れた。

 信長が立ち上がると、「お前の好きな道を選べ」と言い、部屋を出て行った。

 きちんと決断するべき時がきたんだ。

 ただ流れに身を任せて、帰ろうと思うんじゃなくて。

 私がどうしたいのかをきちんと考えて、どっちの世界で生きていきたいかを選べないといけないんだ。

 私、どうしたいんだろう?

 帰りたいのかな? 帰りたくないのかな?
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