毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「儂は誓う。お前だけ愛する。お前以外の女はいらん」

 信長が優しく温かい瞳で私を見つめてくれた。

 磁石でひきあうマグネットのように、私たちは身体を引き寄せあうと、唇を重ね合わせた。

 あたたかい。なんて温かいんだろう。

 キスって、こんなに温かくて甘いものだったっけ?

 まるで美味しいココアを口にしているみたいな感じ。

 そんなことを信長に話しても伝わらないけど。

「信長様、私も誓います。信長様だけを愛する、と」

 唇が離れると私は、顔を真っ赤にして言葉にする。

 信長が、私の真っ赤になった頬を手で覆うと「互いに愛し合おう」と呟き、また唇を重ねた。
















 初めて同じ布団で過ごす夜。強く互いの手を握りしめ合い、愛を確かめ合う。

 まるで初めての時のような緊張感と、期待感の中で、私は信長を受け入れた。

「こんなことを話すなんて変かと思うんですけど……。私、すごく幸せでした。初めてです。抱かれて、幸せだって実感したの」

 布団の中で、私は呟いた。

 信長が、顔をあげるとニヤリと頬を緩めた。
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