毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「私、応援してるからね。信長との子ども、絶対に産むんだよ」

「私、信長に会いたいよ」

 ボロボロと涙が零れた。

 妊娠してるって、信長に伝えたい。一緒に喜びたいのに。

「もしかしたら、さ。妊娠したから、こっちの世界にきたのかもね」

 美琴がしみじみと呟いた。

「え? どういうこと?」

「あっちの世界だったら、毬亜はオバサン世代でしょ? 子どもを産むなんて有り得ない年齢じゃん。きっと、あっちで妊娠してたら、医療技術もままならいし、産める確率が格段に下がるんじゃ……て思うわけよ」

「じゃあ、こっちで産んだら、信長のところに帰れるのかな?」

「それは、わからん」

 美琴があっさりと答える。

 流れ落ちる涙を腕で拭き取った私は、そっと下腹部に手をあてた。

「ただ今、言えるのは、毬亜が実際にタイムトラベルをしてたってこと。夢物語のような出来事を、毬亜は体験してきた。信長と恋をして、子どもを妊娠した。今後、毬亜がこっちの世界で生活し続けるのか。それともあっちの世界に再び行けるのかはわからないよ」

「……だよね」

 私はがっくりと肩を落とした。

「とりあえず、今日の仕事を頑張るよ」と私は呟くと、美琴との電話を終わりにした。
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