毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「正直に言わねえと、殺すぞ」

「死にたくない。でも私、何も知らないんです」

 私の声が震える。

 どうしたらいいの?

 逃げられないようにがっちりと上に乗っかられてたら、私、何もできない。

 ただ殺されるのを待つだけだなんて。

「誰かが暴走するだろうとは思ったが。お前だったとはな。些か、心外だ」

 透き通る声が、頭上からしてきた。

 私は顔を動かすと、夜着に一枚内掛けを肩にかけている信長が立っていた。

 隣には、藤吉郎と呼ばれていた男が蝋燭を持って控えている。

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