毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「あ……兄上?」と信包が、あからさまに驚きの声をあげる。
「藤吉郎も何か言えよ。兄上があの女のせいで可笑しくなってやがる」
信包が、蝋燭を持っている藤吉郎のわき腹に肘をいれた。
「儂はおかしくなどなっておらん」
「どこから来たかもわからねえような女なんだ。いきなり湧き出るように、おかしな格好で現れて。いかれた女に決まってる」
「信包、今川義元の言葉を借りるのは癪に障るが、彼女は確かに今回の戦において、勝利の鍵を握っている。我が軍が、彼女を手元に置いている限りは、勝機はこちら側にあると言っていいだろう。儂は絶対に義元の手に、彼女をやるつもりはない」
「兄上、しかし……」
「儂に反論か?」
「いえ」
信包が、首を振ると一歩後ろにさがった。
「藤吉郎も何か言えよ。兄上があの女のせいで可笑しくなってやがる」
信包が、蝋燭を持っている藤吉郎のわき腹に肘をいれた。
「儂はおかしくなどなっておらん」
「どこから来たかもわからねえような女なんだ。いきなり湧き出るように、おかしな格好で現れて。いかれた女に決まってる」
「信包、今川義元の言葉を借りるのは癪に障るが、彼女は確かに今回の戦において、勝利の鍵を握っている。我が軍が、彼女を手元に置いている限りは、勝機はこちら側にあると言っていいだろう。儂は絶対に義元の手に、彼女をやるつもりはない」
「兄上、しかし……」
「儂に反論か?」
「いえ」
信包が、首を振ると一歩後ろにさがった。