毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「目を離せば、女は今川の手のモノに奪われるぞ。奪われれば、開戦はすぐだ」
「別にこんな女、義元のところに行ったって……」
信長の言葉に、信包がごにょごにょと何やら呟いていたが、小さくて私には聞こえなかった。
「不安に思う必要はない。儂がお前の傍におる」
信長が、私の肩に手を乗せて耳元で囁いた。
「ありがとうございます」と私は呟いて、頭をさげた。
「藤吉郎、義元の術師をこちら側に寝返らせろ。どんな手を使っても構わない。生きたまま、こちらに引き込め」
「承知しました」
藤吉郎の影が動いた。立ち上がると、部屋から遠ざかっていった。
「なぜ?」と声がした。
「必要だからだ」
「別にこんな女、義元のところに行ったって……」
信長の言葉に、信包がごにょごにょと何やら呟いていたが、小さくて私には聞こえなかった。
「不安に思う必要はない。儂がお前の傍におる」
信長が、私の肩に手を乗せて耳元で囁いた。
「ありがとうございます」と私は呟いて、頭をさげた。
「藤吉郎、義元の術師をこちら側に寝返らせろ。どんな手を使っても構わない。生きたまま、こちらに引き込め」
「承知しました」
藤吉郎の影が動いた。立ち上がると、部屋から遠ざかっていった。
「なぜ?」と声がした。
「必要だからだ」