毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「いや。儂は聞かん」
「知っているなら聞けばいいじゃないか。それでさっさと蹴りをつければ」
「信包、急いては事を仕損じる。儂は着実に物事を進めたい。今、儂らに必要なのは『勝利の鍵』からの言葉じゃない。今川軍の情報収集だ。いいな」
ちっ、と舌打ちが聞こえた。
信包がまたもや納得してない様子だ。
それもそうだよね。勝敗を知っているのに、聞かないで、淡々と事を進めるほうが不思議に思う。
結果を知っているなら、知りたいって思うのが人の心というものだ。
私だって、もし目の前に将来を知っている人間がいれば、聞きたくなる。
私はこの先、どんな人生を送るのか。知りたくなる。
でも目の前にいる織田信長は、私に何も聞かない。
「知っているなら聞けばいいじゃないか。それでさっさと蹴りをつければ」
「信包、急いては事を仕損じる。儂は着実に物事を進めたい。今、儂らに必要なのは『勝利の鍵』からの言葉じゃない。今川軍の情報収集だ。いいな」
ちっ、と舌打ちが聞こえた。
信包がまたもや納得してない様子だ。
それもそうだよね。勝敗を知っているのに、聞かないで、淡々と事を進めるほうが不思議に思う。
結果を知っているなら、知りたいって思うのが人の心というものだ。
私だって、もし目の前に将来を知っている人間がいれば、聞きたくなる。
私はこの先、どんな人生を送るのか。知りたくなる。
でも目の前にいる織田信長は、私に何も聞かない。