毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
 たぶん、この人はわかってる。私が未来から来たというのを。

 私より先に、答えを見つけている。なのに、何も聞かずに、私を守ってくれるとまで言ってくれる。

 私のいた世界に戻れるように、力を尽くしてくれると。

 私がもし、捕えられたのが今川軍だったら、どうなっていたのだろう。

 手を差し伸べてくれたのが、信長で良かったと心の底から思う。

 あの時、馬に乗って現れたのが織田信長で良かった。

「あの……質問をしてもいいですか?」

 私は信長のほうに振り返った。

「構わん」

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