毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
 信長に言われなくても、聖とは別れる。もう、夫婦としての生活が描けないもの。

 浮気をするような男とは……結婚できない。

 いくら30歳を目前に控えていても、結婚はしたくない。

「今度は儂のような男を探せ」

「え?」と私は顔をあげた。

 信長が、口元を吊り上げて笑うと、私の背中を擦った。

「儂には自信がある。お前だけを愛する自信が……儂にはある」

 信長? 

 信長にぎゅうっと身体を抱きしめられた。

 ふわっと男の香りがして、信長の体温が頬からも感じられた。

 信長が、私だけを愛する自信があるって……それってどういうこと?

「あの、信長様?」

 私は信長の着物の裾を引っ張ると口を開いた。

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