毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「大丈夫。お前は生きている。必ず、戻れる」

 信長が、手を広げるとぐっと私の肩を掴んだ。

 私の顔が信長の胸におさまる。

 ドクドクと心臓の音が聞こえた。

 信長は生きている。心臓の音が聞こえるもの。

 なら、私も生きているのかな?

「藤吉郎が、術師を連れてきたら、すぐに帰る手筈を整えよう」

「ありがとうございます」

「戻ったら、必ず次の相手を見つけるのだそ」

「はい。わかってます」

 私はクスクスと信長の胸の中で苦笑した。

 そんなに強調して言うことないのに。
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