毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「お前にその気がないのなら、儂に布団で寝ろとは言うな。儂は畳で寝る」

「もう一つ布団を敷いて」

「布団を敷いたからって、儂がこの部屋で安眠すると思うか?」

「え?」

「愛する女を近くにして、ぐっすり眠るほど老いぼれ爺ではない」

 信長が、くくっと笑い声をあげた。

「儂に安眠を望むのなら、お前の身体が必要だ」

 信長がぐるりと身体を反回転させて、私に背を向けた。

「それが無理なら、布団の話はするな。儂はここで充分、眠れている。お前の心配しておる疲れとやらもとれている。大丈夫だ。心配ない」

 私はフッと蝋燭に息を吹きかけて、室内を暗くした。

 信長様に愛されるのはとてもうれしい。

 私を抱きたいって思ってくれる気持ちもありがたいって思う。

 聖はどうだったのかな? 私を愛して、抱きたいって思ってくれたのだろうか?
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