毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
今川軍から守るために、時間があるときは私の傍にいて守ってくれてるだけだし。
「その噂、膨らみすぎよ」
「膨らますことに意味があんだろ」
「そうなの?」
「今川義元にとったら、聞きたくもねえ噂だろうからね」
『おっし』と言葉を吐きだしながら、信包が立ち上がった。
「もう行っちゃうの? その話、詳しく聞かせてくれてもいいじゃない」
「やなこった。あんま長居すると、また変な噂が流れちまう。俺があんたに夢中だってな」
信包の汗がついた手ぬぐいが、私の眼前に叩きつけられた。
「その噂、膨らみすぎよ」
「膨らますことに意味があんだろ」
「そうなの?」
「今川義元にとったら、聞きたくもねえ噂だろうからね」
『おっし』と言葉を吐きだしながら、信包が立ち上がった。
「もう行っちゃうの? その話、詳しく聞かせてくれてもいいじゃない」
「やなこった。あんま長居すると、また変な噂が流れちまう。俺があんたに夢中だってな」
信包の汗がついた手ぬぐいが、私の眼前に叩きつけられた。