毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
『それは本当か?』と信長の驚きの声がして、『わかった。儂から伝える』という言葉が耳に入った。

 何があったんだろう。

 私に関係することなのかな?

 私はじっと二人がいる方向を見つめていると、神妙な面持ちの信長が入ってきた。

「お前に伝えなきゃいけないことがある」

 信長が低い声を出した。

「悪い知らせ……じゃないといいんだけど」

 私の声が震えた。

「儂はお前との約束を果たせなくなった」

「それってどういう意味?」

 信長が悔しい顔つきで、下唇を噛み締めた。

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