毬亜【マリア】―信長の寵愛姫―
「冗談、でしょ?」

「こんな悪い冗談を、儂が言えると思うか?」

「そんなぁ。私、もう……帰れないの?」

「ああ。そういうことになるな」

 私、帰れない。

 私は戦国時代の人間にならなくちゃいけないの?













「少しは食え」

 ショックのあまり、ここ数日間、食事が喉も通らない私を心配して、信長がご飯を鼻先に付きだした。

 私はそれを顔をそむけて、拒むと布団の中に潜り込んだ。

「食べたくないの」とだけ、布団の中で呟くと私は瞼を閉じる。
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