彼女は予想の斜め上を行く
しかし、先輩としては当然……。

「有り得ないだろ!普通、野球の為だけにそこまでするか?大体、野球野球って、葵は野球と俺どっちが大事なんだよ?」

……先輩って、惚れた女を前にすると、こんなことまで言うんだ。

なんか意外だ。

普段の大人なイイ男の余裕なんて、全くゼロなんだ。

「なに!?その《私と仕事どっちが大事なの?》的な質問。男ならもっとまともなこと言えないの?」

確かに女々しいが。

野球の為だけに彼女が他の男の車に乗ったともなれば、女々しいことのひとつやふたつ言いたくなるのが男というものだ。

中島先輩も例外では、ないらしい。

「いいから、答えろっつーの!」

「野球よ!」

「即答かよ!?」

「野球がある限りあんたは所詮二番手、三番手なの!それが嫌だったら、他の女と付き合いなさいよ!」

……ここまで開き直ったような態度をされると、逆に気持ちがいいな。



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