彼女は予想の斜め上を行く
野球好きだとは言っていたが、好きを超越している。

『普通、野球の為だけにそこまでするか!?』という中島先輩の言葉通り。

普通ではない。

過剰で、そして異常だ。

だけど、もっと異常なのは………。

「俺だな……」

ため息を小さくついて金本さんを見ると、相変わらず規則正しい寝息を立てていた。

中島先輩との口喧嘩で彼女のことは、少しはわかったつもりだ。

彼氏よりも真っ先に優先。

過剰で異常な野球ファンだということ。

内角をえぐるような鋭い言葉を投げ掛ける女だということ。

『金本は勇人の手には、おえないよ』

中島先輩の言うように、確かに手におえる気が全くしない。

だが、困ったことに諦める気も全くしないんだ。

それどころか、今日という日に闘志を燃やす自分がいる。

ナンパ避けや強引にではなく、自然に下の名前を呼び合え手を繋げる関係になりたい。

過剰で異常で斜め上を常にいく。

そんな彼女に俺は異常なほど、心底惚れているらしい。
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