その猫、取り扱い注意




上目遣いしながらさりげなく手を握るこいつは元カノのナナ。


今機嫌悪いって分かんないのこいつ。俺が嫌な顔すると、ちょっと嬉しそうな顔した。なんなの。



「イツキ知らないんだ」


「何」


「ユミちゃんの居場所。もしかして今探してるみたいな?」


「……」


「しょうがないなぁ。これ、見れば分かるよ」



やけにテンションが高いこいつが差し出したのは、携帯。画面を開くと信じがたい光景が目に映る。


息を呑む。


携帯を持つ手が震える。



「あたし、ユミちゃんのこと嫌いなんだよね」



制御出来ない感情。


いい加減怒りでどうかなりそうだ。そんな時にナナが嘲笑うような口調で呟く。


ちょんと背伸びして、固まる俺の首に手を回す。



「"これ"、どうして欲しい?」



甘えるような猫撫で声に苛立つことも忘れていた。



画 面 に 映 る あ い つ は

( 泥棒猫にキスされてた )




< 24 / 105 >

この作品をシェア

pagetop