その猫、取り扱い注意




「ハヅキ…」



チアキにしては珍しい弱々しい声だった。



「何?」


「幸せになってほしいなんて綺麗事だった」



主語がなくてもユミちゃんのことだと分かる。



「綺麗事でも、チアキは正しかった」


「うん」


「俺が女紹介してやるって言いたいところだけど、お前ならしなくても寄ってくるな」


「…今はいい」




< 89 / 105 >

この作品をシェア

pagetop