抹茶な風に誘われて。~番外編集~
「関係あるよ――そりゃあもう密接な関係が。なあ? 優月」

 逆に警察に振り払われた形となって、フリーになった手をひらひらさせ、もう片方の腕であたしをおもむろに抱き寄せる。

 しっかと肩に回されたその腕の力が、意外に男らしいのに気づいて、なぜか頬が熱くなった。

 ――何、こんなヤツにドキドキしてんのよあたしってば。

 しかもさっきこいつの例のシーンを見たりしたおかげで、こんな風に走ってきちゃったっていうのに。

 あわてて落ち着こうと呼吸を整えるあたしと、ニヤニヤしたままのホスト野郎――亀元をきょとんとして見比べていた警察官が、一瞬後で余計に肩をいからせた。

「おい、密接って……どういう関係だ!」

「女子高生とホストのお前がそんな――余計に問題だろう!」

 同時に詰め寄った警察官に余裕の笑み。Vサインまでしながら、亀元のバカは言った。

「妹っすよ、い・も・う・と」

「い、妹だと……?」

 拍子抜けしたような顔に、にんまり頷く。

「そうそう、正真正銘の妹! っつっても、二次元で有名な萌え萌え的な妹とは天と地の差っつーかー、月とスッポンっつーかー。現実の妹なんてぜんっぜん可愛げも何もあったもんじゃないっすよ? 今日だって店に泊り込みとか続いてたから着替え持ってきてくれっつっただけで、もうバリ拒否でー。めんどくさいとか自分で取りに来いとか、挙句の果てには死ねとかもうスゲー踏みつけにされてですねー。あのプティ・プティのクレム・ド・ショコラ買ってやるから――ってなんとか説得して来てもらったんっすから。あ? 知りません? 今超人気のゲキうまスイーツ。まあそりゃ味の分だけ値段も高いっつう……こんなことばっかりやってたら、余裕でスーツ一着新調できるくらい。まったく不憫な兄っすよー。そう思いません? こんなんだから世の男どもはこぞってメイド喫茶とかエロゲーとかにうつつ抜かすんすよねー! それで理想の妹像追いかけるっつうかー。わかるでしょー? おまわりさん」
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