ハレゾラ
「翔平さん、彼女っすか?」
「うん、そう。これからは彼女もよろしくね」
「分かってますって。」
ま、またいい加減なこと言って……。はぁ~と溜息ひとつ零す。
ここで『彼女じゃないです』と言うのは大人気ない。
心の中では(こいつ、後で覚えとけよっ)と思いながら、顔はニコッと笑顔を見せる。それを私の思いを知ってか知らずか、彼もニコッと私を見て上機嫌に個室に向かった。
部屋に入って扉を閉めると繋いでいた手を振り払い、すぐに彼に向かって文句を言う。
「さっきのあれは何? 私はいつからあなたの彼女になったの?」
ちょっときつめに言い放ったのに、彼は相変わらず笑顔のままで座布団に腰を下ろした。
「咲さんも座って。話はそれから」
いつまでも突っ立ってるわけにもいかず、私も彼の向かい側に座った。