ハレゾラ
10時半頃には支度もバッチリ整い、玄関横に置いてある鏡の前で自分の姿を
見つめていた。


「うん、上出来!」


いつもはパンツ姿が多いけれど、今日は膝上丈のミニスカート。
上着はふわっとした、女の子らしいフォルムものを合わせた。
何歳かは若く見えるかしら……。
無理し過ぎない程度に頑張ったつもりだけど。
後は、お気に入りのバックに、お気に入りのパンプス。


「よしっ!これで出来上がりっ!!」


手に握りこぶしを作ってガッツポーズをしていると、玄関のチャイムが鳴った。
思わず「わぁーーっ」と声を出してしりもちをついてしまう。


「さ、咲さん、大丈夫?」


ドアの向こう側から、翔平くんの心配そうな声が聞こえた。


「う、うん……。大丈夫。今、開けるね」


もう一度身なりを整えると、そっと深呼吸をしてからドアを開けた。
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