ハレゾラ

「おはよう」


彼にそう挨拶をしたけれど、応答なし。どうしたんだろうと顔を覗き込んで
みると、まるで花でも咲いたかのような極上の笑顔を私に向けてくれる。


「咲さん、最高! 可愛いっ!!」


そう言いながらガバッと私を抱きしめた。

う、嬉しいんだけど、く、苦しい……。

しばらく物凄い力で抱きしめられていたが、私がバタバタともがいているのに
気がついた彼は、腕の力を弱めた。
そして顔を私の耳に近づけて、悪戯っぽく言った。 


「ごめんごめん。我を忘れて力入れすぎちゃった。でも咲さんが悪い。
 こんなにも可愛いんだもん」


耳にかかる彼の息に蕩けそうだ。気持ち良くて足に力が入らなくなる。
私の異変に気づいた彼が、腰に手を回して支えてくれた。
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