社長の溺愛・番外編

バレンタイン




『ぱぱとままのとこに家出します。お仕事頑張って。お土産は何がいいかわからないからメールしてね。ばいばい。』



―――――なんだこれは。



仕事が終わり、直帰した翼が寂しがっていないかと急いで帰ってみればリビングに置かれていたメモ


色々と間違えているそれを苦笑を浮かべつつ指先で撫でる


きっと南月に間違えた情報を教えられたのだろうその内容は明らかにおかしい


家出をしたらしい翼は行き先を教えた挙げ句にお土産まで買ってきてくれるらしい



今日は金曜日、そして明日からは3連休


どうせ休みなんてないからと諦めていたのだが、それでは翼が可哀想だとか言い出した父さんが調整してくれたおかけで明日から休みが取れたのだ



それを報告しようとした矢先にこれだ、父さんたちは翼が可哀想じゃなくてただ単に翼と遊びたくてたまらないらしい



俺に言ったら許してもらえないと思ったから家出なんてことさせたんだろう



我が親ながら馬鹿だと思う


最近、翼は父さんと母さんのことを自分の両親のようにぱぱ、ままと呼ぶようになった



両親は嬉しそうにしているが翼本人の胸のうちはわからない


それでも、そう呼べるひとが身近にいると言うことはいいことだと思う



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