社長の溺愛・番外編
「亘さん………嘘つき…っ」
ボロボロと涙を流しながらもういい、と言って足早に大理石を駆ける彼女
あぁ、やってしまった
急いで書類を投げ捨て走る彼女を抱き締める
「ひっく……慎やだ…」
地味に傷つくその言葉にたじろいてる暇などない
「ごめん翼、可愛いよ」
「嘘つき……お話聞いてくるなかった…!」
「それは………」
不意をつかれたせいか腕の力が弱る
その隙に彼女は仔猫さながらに駆けていった
あんな格好で会社内をうろついたらいつ誰に捕まるか……!
「慎!」
急いで後を追いかけようとドアノブに手をかけたところ、制止を求めるように幸弘が叫ぶ
ため息を吐きながら……
「全く…翼ちゃんがなんであんな服着てたかわからねぇの?」