雫-シズク-
このまま部屋に戻ると葵さんがいる。


僕は一人になりたくて、今知ったばかりのことから逃げるように部屋とは反対の方に向かった。


震える手でくつひもも上手く結べないまま、ばたばたとほとんど人のいない学園の裏へ歩く。


壊れた椅子やがらくたが並ぶごみごみした場所で体の力が抜けた僕は、どさりとしゃがみ込んだ。


そしてずっと頭の中でぐるぐる回っている佐藤さんの言葉を口に出す。


「自殺、だったんだ……」


そう声をしぼり出したとたん、すごく裏切られた気持ちになった。


僕を一人ぼっちにしたのは、お父さんとお母さんだったなんて……。


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