雫-シズク-
全部からっぽになったのか、気持ちがなんにも動かない。


もう一年も前のことで今までたくさん苦しんできたんだから、これ以上辛くなるのはもう嫌だ。


ちょっとだけここにいて、すぐ部屋に戻ろう。


二人が死んだことは変わらないんだから、いまさらなにか考えたって仕方ない。


いまさら考えたって。


いまさら……。


晴れているのにぽとりとなにかが手に落ちてきた。


あれ?なんだろう?


おどろいて見た手の甲には、きらきら光る冷たいしずくが一粒浮かんでいる。


それをじっと見下ろした僕は、初めて自分が泣いているのに気が付いた。


< 90 / 347 >

この作品をシェア

pagetop