雫-シズク-
なんだか自分の落とした涙じゃない気がしていると、あっという間に手がびしゃびしゃにぬれてしまった。


……ああ、そうか。そうだったんだ。


……僕は。


こんな淋しいところになんとなく来たんじゃない。


一人で泣ける場所が欲しかったんだ。


止まっていた心が少しずつどくんどくんと動き出す。


今までお父さんとお母さんの笑顔を思ってがんばって生きてきたのに、本当は捨てられただなんて。


知りたかったことが、そんなことって。


「どうせなら、僕も殺せばよかったじゃないか……!」


さけそうな胸の痛みがどんどん言葉に変わって口から出てくる。


「僕を置き去りにして二人でさっさと逃げたんだ。今まで僕がどんな気持ちで生きてたか知ってるの!?」


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