雫-シズク-
目の前に二人がいるみたいに一人で叫び始める。


「昨日の夜だって夜中に熱を出した僕をかかえて病院に連れて行ってくれたお父さんを!ちゃんとできたテストをほめてくれたお母さんを!一生懸命思い出してがんばろうって思ったのに……!」


体の中をぐるぐる回るどろどろの熱いかたまりが苦しくて、僕は両手で力いっぱい地面を叩いた。


あばれてすっきりしたいのに全然足りない。少しもすっきりしない。


いくらどかどかとじゃりをまき散らしても、涙も苦しさもなくなってくれない。


「ひどいよ……!僕は捨てられたんだ!くやしい、くやしいよ……!!」


自分が知らなかっただけなのにだまされた気持ちでいっぱいになった僕は、手なんか壊れてもいいくらい強く地面を殴りつけた。


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