雫-シズク-
ガツン!


握った手を見てみると、あちこち小石がささって血だらけになっていた。


全然痛くないそのこぶしをにやけながら見つめる僕は、まだ壊れていないのだろうか。


そして今まで感じたことのない真っ黒い物が、胸の奥からむくむく起き上がってくる。


「ふっ、ふふふっ……」


なんだか黒い泥がふっとうしてぼこんぼこんと変な音を出しているみたいで、おかしくなった僕は笑い出してしまう。


「ふふっ、僕ってばかだよね?あんた達に捨てられたこと知らないで、ずっと泣きながらお願いしてたなんて。……ただのまぬけじゃん」


この時から僕はもう二人をお父さんお母さんと呼ばないと心にちかった。


ばかばかしい、ばかばかしすぎるよ。


できるなら三人の楽しい思い出も、僕を見つめるあたたかい目も消してしまいたいくらいだ。


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