雫-シズク-
僕を一人ぼっちにした二人を生まれて初めてにくらしく思う。


そして優しかった言葉や笑顔で僕を抱きしめた腕、そんな幸せだったころの全部がうそだったとぎりぎり歯を食いしばった。


「大好きだとか大切だとか言ったくせに本当は違ったんだ。じゃなきゃこんなひどいことなんかできるわけない……!」


指導員室でショックを受けて震えた手が、今は怒りで震えている。


血を流すこぶしを強く強くにぎりしめて、二人に届くように大きな声で僕は叫んだ。


「お前らなんかもう親じゃない!!もう絶対願わない!!絶対に悲しむもんか!!」


ごうごうと音を立てる赤黒い炎に飲み込まれながら叫んだ声は、オレンジ色のきれいな空に悲しくすい込まれていった。




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