雫-シズク-
掃除の時間が近付いて、だらりと腕を下げたままとぼとぼと学園に戻った。


ドアを開けて部屋に入ってきた僕を見て、ベットに座っていた葵さんが目を丸くする。


「お前なにやったんだよ!?」


答える元気もなくてぼんやりしたまま床にぺたんと座り込む。


「手、貸せ!」


部屋に置いてある救急箱をつかんでぐいっと僕の手をひっぱると、慣れた手つきで小石をとってくれた。


そしてあっという間に僕の両手が包帯に巻かれていく。


「上手いですね……」


ひんやりした目で包帯を見つめてぼそりと言うと、葵さんは口のはしだけで笑った。


「あぁ、こういうの慣れてんだ」


< 95 / 347 >

この作品をシェア

pagetop