雫-シズク-
そういえば葵さんの体、傷だらけだったっけ……。


一年も一緒にいるから気にもしなくなっていた。


「ありがとうございます」


そうつぶやいた僕の顔を見て、葵さんが小さくうなずく。


「まじめなお前がケガなんてな……。あんまり無茶すんなよ」


なにがあったか聞かれなくて少しほっとした。


ここでは人にあれこれ口を出さないことがなんとなくルールみたいになっていて、自分からなにか話さなきゃそれ以上ほとんど聞かれない。


でもそんなことを無視していちいちうるさい人もいるけど。


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