ライアーライフスタイル



山村と酒を飲んだ翌日。

私は喉の渇きで目を覚ました。

「水……」

唸るように絞り出した声が虚しく部屋に響く。

起き上がろうとすれば頭が痛むが、起き上がらなければ水には辿り着かない。

自分との戦いを何とか制して冷蔵庫まで移動し、ペットボトル入りの水をがぶ飲みした。

完全に二日酔いだ。

ペットボトルを持ったままベッドに戻り、再び横になる。

深呼吸すると、自分の息からアルコールの匂いがした。

昨夜の記憶を手繰り寄せる。

山村ばかりが頭に浮かぶ。

ずっと山村を見つめていた気がする。

記憶が正しければ、抱き合ってぴったり密着した。

山村に無理やり抱きしめられたのではなく、自分から甘えた。

夢か現実か曖昧だけど、おでこにキスされた気もする。

思い出すと何だか胸が苦しくなってきた。

山村は優しかった。

そして温かかった。

私が泥酔していなければ、何か間違いが起きていたかもしれない。

昨夜の私は、彼に迫られたらあっさり流され受け入れていたと思う。

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