ライアーライフスタイル

宣戦布告だ。

私を巻き込んで新田主任を潰すという、最悪の果たし状だ。

私は何も言えずにただ突っ立っていることしかできない。

「じゃあ、また」

彼が歩き出すと、コンビニの窓に情けない私の姿が反射した。

舟木と別れた時と同じ後味の悪さを感じる。

緊張で無意識に力んでおり、グラスで切った左手がじわじわ痛みだす。

山村がふと足を止めた。

そして一言。

「あんた、やっぱブスだわ」

そう吐き捨て、早足で去っていった。

「やっぱ」に込められたのは私たちの過去への確信だ。

ブスだなんて言われたのは整形以来初めてだ。

この言葉は今でもしっかり私の心に突き刺さる。

手を切ったグラスよりも深く深く、私の心の古傷を切りつける。

気付いたら涙が出ており、手の甲で拭っていた。

なるほど、この仕草は私の癖なのかもしれない。


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