私の片想い事情 【完】
大学時代は、私も隼人もアルバイトとしてスイミングスクールのインストラクターをしていて、大学卒業後そのまま就職することができた。
丁度、インストラクターが一人辞めたことと、幼児の生徒数が増えいたことで、私たちは、就職難の大変な時期を、悠々と過ごせた。
隼人は実家暮らしのせいか、スイミングスクールに近い私のアパートに来ることが多い。
飲んでそのまま泊まることも多く、親友というより仲のよい兄妹といった方が近いかもしれない。
もちろん、一夜の過ちなんて私は大いに期待したけど、そんなトレンディードラマの主人公のようなことは一度も起こることがなく、酔いつぶれて朝まで熟睡。
隼人のお母さんにまで「みなみちゃんなら安心して隼人の面倒を見てもらえるわ。隼人の彼女は当てにできないし」なんて嬉しいのか、悲しいのかそんなことを言われた。
でも、6年という長い歳月の間、私が何も行動を起こさなかったわけではなく、最初は私なりにかなりアピールしていた。
だけど、まともに恋愛なんてしたことのない私を、このハイスペックな男が恋愛対象として見ることなんてなく、数々の「隼人好き!」という私の告白を軽くスルーされてきた。